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元気な東京、安心して暮らせる多摩・小平を目指して!

2010.03.03 : 平成22年第1回定例会(第3号本文)
◯四十三番(高橋信博君)
初めに、アジアを視野に入れた産業振興について伺います。
世界金融危機を契機とした景気後退と円高の継続など厳しい経済状況の中で、日本を訪れる外国人旅行者数は六百七十九万人、二割減と前年を大きく下回ることとなりました。しかし、中長期的な視野に立って観光を俯瞰すれば、世界規模でのアジアの交流人口の伸びと、それによる経済波及効果の増加は、依然としてますます期待されます。 
先月十四日、中国の旧正月である春節の際には、東京のあちこちでショッピングや観光を楽しむ大勢の外国人旅行者の姿をたびたび目にしました。中国、香港、台湾などの中華圏の方やシンガポールなどの方々が、春節前後の長期の休暇期間を利用して、日本への旅行を企画されたのだろうと思います。 
新聞やテレビでも、二月の閑散期に大勢のお客様を迎えた銀座や秋葉原などの、買い物客でにぎわう様子が報道されました。お土産に家電製品や化粧品をまとめ買いし、高額なブランド品や嗜好品を購入、また、グルメや温泉なども満喫して帰っていきました。 
この旅行者の姿は、アジア諸国の急速な経済成長に伴う富裕層や中間所得者層が急増していることを、目に見える形で実感させられるものでした。 
春節休暇前の報道によれば、今回の春節の期間中に、中国からの世界各地を訪れる海外旅行者数は過去最大規模の延べ千二百万人に達する見通しとのことであり、また、休暇後には、中国の銀行カードである銀聯カードの海外での決済額も、この連休中に前年同期比八割増だったとのことで、このカードを国外で利用するケースが急増しているようです。 
海外で存在感が高まる中国人観光客の消費の動向に、世界じゅうから熱い視線が注がれております。 
このように、アジア諸国の中でも、昨年七月には個人ビザ解禁の追い風もあり、国別の訪日旅行者数に関する一月の発表の中で唯一前年を上回った中国は、外国人旅行者誘致に当たり、特に取り組みを進めるべき市場であると思います。富裕層や若者層などさまざまな層で、東京の多様な魅力に引かれて、今後もますます旅行者がふえていくと確信しております。 
また、中国は既に羽田空港への定期チャーター便を有しておりますが、十月の国際化、再拡張の機には、便数の増加なども期待できるところであるから、この機会を活用して、今後の観光振興に取り組むことが肝要であると考えます。 
そこで、今後も旅行者の増加が期待できる中国を初めとしたアジア市場について、知事の認識を伺います。 
今、私が紹介した、中国からの旅行者の日本国内での旺盛な消費活動などは一例でありますが、最終消費市場としてアジア諸国が注目を集めています。 
例えば、財務省のホームページに掲載されている、貿易相手国上位十カ国の推移、二〇〇八年輸出入総額年ベースを見ると、日本の貿易相手国の一位は中国、三位が韓国、四位台湾、八位タイ、九位インドネシアと、東アジアやASEAN諸国が半数を占めております。 
一方、冒頭でも申し上げましたが、我が国経済は、一部に景気持ち直しの報道も見られるものの、一昨年の世界的な金融危機に端を発した不況から抜け出し切らず、いまだ先行きは不透明であり、私の地元の中小企業経営者からも、不況の影響で受注が減り、工場の稼働率が回復していないといった声が多数寄せられています。都民や中小企業経営者から見れば、景気回復の実感はないという意見が大多数ではないでしょうか。 
我が国経済の回復力の弱さは、まさに今、日本経済が陥っている状況を変えるような有効な産業政策、経済政策を、国が十分に打ち出せていないことの証左でもあります。 
その中で都は、厳しい財政状況にもかかわらず前年比二〇%以上の増予算を組むなど、積極的に中小企業支援に取り組んでおり、大いに評価いたします。今、都政に求められているのは、都民の生活を根底から支える中小企業が現在の危機を乗り越え、将来に向けて展望を開くことができるような施策ではないでしょうか。 
とりわけ経済のグローバル化が進む中、アジア市場に活路を見出したいという企業もありますが、海外との取引経験がある中小企業はまだ少なく、実際にはなかなか踏み出せないのが実情と聞いています。 
東京に集積する、高度で多様な技術を次世代につなげていくため、これまでも都は、数次にわたる補正予算を組み、さまざまな施策を打ち出してきました。さらに、すぐれた技術や製品を持つ都内中小企業が積極的にアジア市場での販路開拓に挑戦できるよう、都として一層の支援を進めるべきと考えますが、所見を伺います。 
次に、都市農業の振興について伺います。 
我が東京都議会自由民主党都市農政を考える議員連盟は、先月、農業者の方々との意見交換会を開催いたしました。その中で農業者の方の喫緊の課題は、やはり農地制度と税制度でありました。 
都から国へは、毎年、農地制度と相続税制度の改善を要望しており、自由民主党政権時代には、国において都市農地の検討が進められておりました。しかし、現在、この検討も中断され、市街化区域内農地の制度改善は五里霧中の状況です。このままでは都市農地は相続のたびに減少し、近い将来、東京から農地がなくなってしまうでしょう。 
農地制度、相続税制度は国の所管であり、都として、引き続き国に要望、改善を行ってほしいと思います。 
一方、都としてもやることがあります。その一つは、農家の経営という面から都市農業、都市農地を支えることです。 
都が、農業生産や流通に対して長年にわたり農家を支援しており、こうした取り組みもあって、東京の農業は、国の農業施策の対象から外れてきた市街化区域内においても農業経営が続けられてきたことは評価いたします。しかし、農地の減少が進む中、さらに一層、都内農業者が経営力を向上させ、認定農業者等の農業の担い手が将来に希望が持てる農業を確立すべきであります。 
そこで、認定農業者等の農業の中核的な担い手に対して、都はどのように支援していくのか伺います。 
現在の東京の農家は、都市化の波を乗り越え、消費者ニーズにこたえた農業生産ばかりでなく、東京ウドやナシの「稲城」など、全国に誇れる特産農産物の生産や、江戸東京野菜の亀戸大根、ノラボウナ、馬込半白キュウリ等の希少価値を持つ農産物の生産を行いながら農業を続けております。この江戸東京野菜は、地域色豊かな農産物として、食育や地域おこしのシンボルとして注目されており、品川区では品川カブを食材に取り入れる料亭やレストランもあり、また、墨田区では寺島ナスが小中学校で食育の一環として栽培されております。 
このような取り組みには農業者が積極的にかかわっており、生産ばかりでなく、新たな工夫を加えた農業経営も行われるようになっております。 
さらに、ブルーベリーやニンジンからつくったジャムや、生乳からつくったアイスクリームやヨーグルトなどの販売、また、ブドウやナシ、花などのもぎ取り、摘み取り農園の経営など、新たな取り組みにより農業の二次、三次産業化に取り組んでいる方も多くいらっしゃいます。しかし、生産ばかりでなく、加工、流通、販売へと多角化させるほど、農業経営は複雑になり、それに伴う農家の負担も増します。 
そこで、施設整備に対する支援だけではなく、農業経営の多角化に伴う農家の負担を軽減するため、都はどのような支援を行っていくのか伺います。 
次に、玉川上水の整備保全について伺います。 
玉川上水は、豊かな自然が大きな魅力であり、多くの文人、芸術家が周辺に居を構えたり、作品に写しとったりしてきました。 
最盛時には一日に六万人もの花見客が訪れたという名勝小金井桜、雑木林の新緑、紅葉など、四季折々に色を変えて、散策する者の目を楽しませてくれます。また、江戸時代、武蔵野台地の発展、開発に果たした役割ははかり知れず、玉川上水は武蔵野のルーツといっても過言ではありません。 
そうした極めて価値の高い玉川上水を適切に保全し、次世代に確実に継承していくため、昨年八月、史跡玉川上水整備活用計画が策定され、いよいよ平成二十二年度から具体的な取り組みがスタートいたします。 
この計画に沿って各施策を円滑に進めていくためには、都民、わけても日ごろから玉川上水に親しんでいる地元住民の理解、協力が不可欠であり、地域を挙げて整備保全への機運が高まることが非常に大事であります。 
そこで、この整備活用計画を、都民や地元住民に対してどのように周知していくのか伺います。 
この計画は、私がかねてからさまざまな機会をとらえて主張してまいりましたように、玉川上水がより人々に親しまれ、そのかけがえのない価値を後世に引き継いでいくための非常に意義深い取り組みであり、計画に沿って着実に実施されることを強く期待しております。 
特に、上水堤を彩る美しい景観が昔から親しまれてきた名勝小金井桜については、保存のための取り組みが、平成二十二年度から早速動き出すと聞いております。 
そこで、この名勝小金井桜の保存を初め、整備活用計画の実現に向けてどのように取り組んでいくのか所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 
〔知事石原慎太郎君登壇〕

◯知事(石原慎太郎君)

高橋信博議員の一般質問にお答えいたします。
アジアからの旅行者誘致についてでありますが、観光は、関連する産業のすそ野が広く、経済波及効果や雇用創出効果が大きいために、かねてからその振興に力を入れてまいりました。 
現在、欧米では、すしが大変なブームになっておりますが、すしがここまで世界的に広がったのは、これは決して日本人が売り込んだものではなくて、繊細な魅力を持つすしのよさを欧米が発見し、広めたためであります。 
このことは、他国にない日本固有の文化がすぐれた観光資源になることの証左でありますが、どうも日本人は今まで、自分の持てる文化の異質性、相対的な高さというものに自負を持って、それを踏まえた観光振興を図るといった視点がいささか欠けていたような気がいたします。 
今後は、こうした視点に立って、観光振興を展開することが必要であると思います。 
一方、アジアについては欧米とは異なり、文化の類似性も存在しますが、文化に着目するという発想や視点を大切にして外国人旅行者の誘致に生かすことが、同じく重要であると思います。 
近年、アジアからの旅行者は、その経済成長を背景に拡大の傾向にあります。中でも中国からの旅行者は、昨年七月に個人観光ビザの発給が開始されたことなどから、その伸びが極めて大きくなってきております。 
ことし十月に、宿願であった羽田空港が再拡張、国際化されることに伴い、さらなる訪日旅行者の増加が見込まれることから、これを契機に、中国を初めとするアジアからの旅行者誘致に積極的に、多角的に取り組んでいこうと思っております。 
今般任命されました観光庁の長官ですか、東京に知恵と協力を求めて来られるそうでありますけれども、喜んでお目にかかって、こちらからも東京の売り込みをしますし、政府と力を合わせて──何といっても、日本の首都東京であり、これだけ集中、集積の進んだ東京でありますから、その魅力というものを国もやはりしっかり認識して、協力してもらいたいと思っております。 
他の質問については、関係局長から答弁いたします。 
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

◯産業労働局長(前田信弘君)

三点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の海外販路開拓への支援についてであります。 
経済のグローバル化が進む中、成長著しいアジア市場での販路開拓を目指す中小企業を応援することは、極めて重要であると認識しております。 
都はこれまでも、ベトナムを中心に、都内中小企業の海外事業展開を支援してまいりました。来年度からは、機械、金属などの分野別に配置した専門家が、商材の目ききや貿易に関する相談に対応するとともに、商社のネットワークを活用した現地の市場動向の情報収集、提供などを行うことといたしました。 
これらにより、すぐれた技術や商品を持つ都内中小企業の、アジアにおける販路開拓を強力に後押ししてまいります。 
次に、農業の中核的な担い手に対する支援についてでありますが、これまで都は、魅力ある都市農業育成対策事業を実施いたしまして、生産や流通の施設整備等への支援を行ってまいりました。しかし、農業の中核的な担い手が将来に希望を持って農業を行うためには、施設整備に加えまして、経営力の向上を図ることが重要であります。 
このため、来年度から都市農業経営パワーアップ事業を開始いたします。本事業では、支援の対象を、認定農業者等、農業経営の改善目標を設定した農業者といたしまして、都が施設整備と農地整備を総合的に支援するとともに、専門家の派遣などのソフト支援もあわせて行えるよう、支援体制の強化を図ってまいります。 
こうした取り組みにより、都市農業の中核的な担い手であります認定農業者等の経営を支援してまいります。 
最後に、農業経営の多角化に伴う農家の負担の軽減に対する支援についてであります。 
都市農業において、農業者が加工や販売等の施設等を整備して、二次、三次産業化に取り組むなど農業経営を多角化することは、経営を安定させる上で有効であります。しかし、農業経営が多角化するのに伴いまして、商品の開発、加工、販売などに専門的な知識を要する事例や、収支見込みの甘さによる経営問題の発生などが増加しております。 
このため、来年度から開始いたします都市農業経営パワーアップ事業においては、農業改良普及センターが中心となりまして、区、市、町、農協等で構成する地域支援チームを設置し、地域の実情に応じた指導、支援を行ってまいります。 
さらに、専門家による商品開発への支援や加工品のレベルアップ、販路拡大への支援、経営コンサルタントや税理士の派遣による的確な診断に基づく経営改善指導によりまして、農業者を支援していくこととしております。 
今後とも、この事業を着実に推進するなどして、農業者の負担軽減を図り、農業経営力のさらなる向上に努めてまいります。 
〔水道局長尾崎勝君登壇〕

◯水道局長(尾崎勝君)

二点のご質問にお答えいたします。
まず、史跡玉川上水整備活用計画の周知についてでございますが、史跡玉川上水を良好な状態に保全していくためには、適時適切な情報発信を行い、都民や地元の皆さんの理解を得ていくことが重要であると認識しております。 
このため、水道局ホームページを通じて、玉川上水に関するさまざまな情報にアクセスできるように工夫するとともに、今後作成するパンフレットには、利用者の視点に立った散策に役立つ地図などを織り込み、その配布に当たっては、近隣文化施設や地元自治体等との連携を図ってまいります。 
特に、玉川上水を身近で守り続けている地元の皆様に対しては、整備予定など、より詳細な情報を地元自治体の協力を得ながら提供してまいります。また、小川水衛所跡地など周知効果が高い場所に、計画の目的や効果を記載した案内板を掲示してまいります。 
これらを実施することにより、地元の皆様はもとより散策に訪れる方々にも、より一層の理解と協力を得てまいります。 
次に、整備活用計画の実現に向けた取り組みについてでございますが、名勝小金井桜の保存につきましては、地元自治体、地元団体等との協働により、山桜並木を形成していくため、モデル区間を設定し、先行して整備を進めることとしております。 
平成二十二年度は、小金井公園正門前の東側約百五十メートルの区間におきまして、桜を被圧する樹木の伐採や、補植場所の地元への提供を行います。 
また、貴重な土木施設、遺構である玉川上水を適切に保存するための護岸工事や、水衛所跡地を利用した散策路の改善につきましては、二十三年度からの施工に備え工事手法の検討を進めてまいります。あわせて、視界を遮る水路内の中低木を伐採し、橋や緑道からの眺望を確保していくほか、フェンスデザインの統一に向けた関係機関との調整を行ってまいります。 
このような取り組みを着実に実施することにより、玉川上水の史跡としての価値を高め、都民に親しまれる水と緑の空間として、次世代へと確実に継承してまいります。